あなたは何泳ぎが一番好きですか?
スピードのあるクロール、マイペースな平泳ぎ、優雅な背泳ぎ、ダイナミックなバタフライ・・・
あなたは四泳法の中でどれが一番好き、または得意ですか?
人によって様々であるとは思いますが、僕がこの中で一番好きで得意なのは平泳ぎです。
平泳ぎは競泳ではブレストとも呼ばれており、両手ですくい上げる様に水をかき、両足を後方へと一蹴りし、その勢いで水の中を進んで行きます。
①かく
②蹴る
③伸びる(姿勢をまっすぐにする)
を左右対称にひたすら繰り返す泳ぎですね。
水面に常に顔を出し、両手両足を同時にかく泳ぎ方は俗にカエル泳ぎと呼ばれていて競泳の平泳ぎとは実は違う泳ぎ方なのです。
平泳ぎはスピードこそ出ないものの、上がったり下がったりのリズムを繰り返し、水の中をまっすぐ力強く突き進んでいく感じが気持ちよくて、一番「泳いでいるなぁ」と実感できる泳ぎだと僕は思います。
また視界の確保と呼吸が容易なことから、人間が水に投げ出された時なんかに本能的に取るのがこの泳ぎの形なんじゃないでしょうか。
現に平泳ぎは人類最古の泳ぎであり、水泳のスポーツ化に伴い最初に泳法が確立されたのも平泳ぎなのだそうです。
そこから次いでクロール泳法が誕生し、
彡(^)(^)「せや!クロールひっくり返して泳いだろ!」
という事で現在の背泳ぎが誕生し、(それまでの背泳ぎは平泳ぎをひっくり返した様な泳ぎだったそうです)
更に平泳ぎに改良が加えられよりスピードの出る形が考案され、皆がその泳ぎをまねし始めた事から
「これもう違う泳ぎなんじゃない?」(´・ω・`)
という事になり平泳ぎとは別の泳ぎとして分けられ、現在のバタフライ泳法が誕生しました。
こうした事から、平泳ぎは人類が泳ぎ始めたはるか昔から現在に至るまで共にあるとても歴史のある泳ぎであり、すべての泳法の雛形であると言えると思います。
それほど由緒正しき泳ぎであり、素晴らしい泳ぎであると僕は思うのです、が・・
しかし・・しかしながら・・やはり
平泳ぎは遅いのです。
視界と呼吸の確保が容易な反面、水の抵抗を受けやすく、「加速しては減速する」動作を繰り返すため、四泳法の中で最もスピードの出づらい泳法でもあります。
クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライでレースをした場合、当然平泳ぎに勝ち目はありません。
プロ選手の平泳ぎなら、素人のクロール、背泳ぎ、バタフライより早く泳げるかもしれませんが、そういった技術や体力に顕著な差でもない限り、スピードで平泳ぎが他の泳法に対抗するのは無理があるでしょう。
また遠泳や長距離を泳ぐなら「平泳ぎ」と認識されている方もいるかもしれませんが、実は「減速と加速」を繰り返す平泳ぎはエネルギー効率が悪く、スタミナを多く消耗してしまいます。
なので長距離を泳ぐ際はクロールが最もエネルギー効率が良く一番適した泳ぎ方なのです。
プールとは違い水中に顔をつけるのが困難な状況や、障害物などが多く、広い視野が必要な屋外での緊急時の場合などのサバイバル泳法として平泳ぎ(カエル泳ぎ)は必須であると言えますが、事競泳に限っては
遅いし、疲れるし、すんごい効率の悪い泳ぎ方なのです・・。
素人でも習得が比較的容易な泳ぎではありますが、しかし速く泳ぐためには最も技術が要求される泳法であり、四泳法の中で一番難しい泳ぎであると思います。
・・なのに遅い(´;ω;`)
・・基本遅い(´;ω;`)
どれだけがんばって技術を上げ、泳ぎを磨いたとしても四泳法の中では一番遅く、どんどん追い抜かれていってしまう不遇な泳ぎ・・それが平泳ぎなのです。
だが それがいい。
実に いい。
非常に いい。
その遅さと不遇さがとてもいいんじゃあないかぁ~。
その非効率さ・・非合理さが美しい・・(うっとり)
あ、いや、僕は別にマゾとか変態じゃないですよ?(笑)
ただスピードの遅さと効率の悪さを前提として、スピードの速さを競い合うという平泳ぎという種目が人間らしくも美しく、実に素晴らしいと純粋にそう思うし、そんな平泳ぎという泳法が僕は大好きなのです。
パッと顔を上げ息を吸い、力を溜めて水を蹴り、そしてぐーんと伸びる。
自分を前へ前へと打ち出していく感覚と、水の中を突き進んでいく気持ちよさは平泳ぎにしかない物があります。
あなたもプールなどに行った際はぜひ平泳ぎにチャレンジしてみてはいかがでしょう。